医療業界の人手不足はICT化で解決する?

医療業界では、医師や看護師といった医療従事者が常に不足しています。人手不足は医療の質や安全性を低下させるだけでなく、医療従事者の過労やストレス、離職などを引き起こす悪循環の原因にもなります。そんな中、人手不足の解決策としてICT化(情報通信技術)に期待が高まっています。

医療におけるICT化の事例として、電子カルテや画像診断システムといった診療サポートシステム、オンライン診療やヘルスケアアプリなどの遠隔診療のサポートシステムなどが挙げられます。これらのICTは、医療情報を管理・共有し、診断治療の支援をサポートするだけでなく、予防・健康管理の促進にも役立ちます。例えば人工知能や画像診断システムなどは、医師の判断を補助し、診断ミスや過剰診断を防止してくれます。遠隔診療では、地域間や施設間の医療資源の偏りを解消し、居住地に囚われず、いつでもアクセス可能な医療サービスを提供できます。

そのほか、人工知能やロボットを含めた先進的なICTも、着々と導入が進められています。これらのICTは、医療従事者の負担を軽減してくれるため、業務効率化や質向上に大いに貢献してくれるでしょう。

とはいえ、ICTの活用にも限界はあります。ICTはあくまで医療従事者の補助であり、代替ではありません。ICTのみで患者と信頼関係を築くことは難しいため、人と人が繋がる部分では医療従事者が対応する必要性があります。それだけでなく、ICTによる医療情報の漏洩、人工知能やロボットによる判断ミスや事故といった、ICT活用に伴うリスクがあるのも忘れてはいけません。こうしたICTならではのトラブル解消は、医療業界を支える上で急務の課題といえるでしょう。